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歯科用顕微鏡の四方山話

顕微鏡酔い

 歯科用の顕微鏡(マイクロスコープ)を使って細かい作業をしていると、乗り物酔いのような状態に陥って、胸がムカムカしたり、ひどい人は吐いてしまったりする事があります。俗に「顕微鏡酔い」状態です。もちろん、患者さんが気持ちが悪くなるのではなく、術者である我々が酔ってしまうのです。

 幸い私は大学を卒業して大学院に入ってから、アメリカの大学に勤務している間までほぼ8年、ずっと骨の微細構造の研究をしていましたので、顕微鏡を7?8時間のぞき続けても全く平気です。また、PS2の3Dゲームで鍛えているのも顕微鏡酔いに強い理由ではないかと思っています。

 ただし、顕微鏡が床に置いてある可動式のキャスターに固定してあると、アシスタントが近くを歩いただけで視野がプルプルと震えて、ちょっと酔いそうになる事があります。歯科用顕微鏡を買う前には、各社の顕微鏡を順番に借りて実際に使ってみました。もちろん、移動式でないとちょっと借りるわけにはいかないのですべてキャスター式のタイプでした。国産のメーカーで値段が安くてお買い得のように見えた顕微鏡は、本体の剛性が弱く一度揺れ始めるといつまでも視野がブルブル震えて使いものになりませんでした。構造設計で問題になったマンションみたいな顕微鏡です。結局、デザインはごついのですが、剛性が強くて視野の揺れが少ないGlobalの顕微鏡を買いました。それでも不安だったので、コンクリートの壁に直接取り付けてもらい、視野の揺れもなく快適に処置をしています。
(時々、顕微鏡のブームに頭をぶつけるととても痛いのだけが難点です。)

顕微鏡と食べ物

 顕微鏡下で細かい作業をする大敵は手の震えです。緊張すればするほど、手が震えますので、メンタルなコントロールも重要になります。顕微鏡を使った歯周外科処置の研修を受けていたとき、講師の先生からカフェインを摂取すると細かく手が震えるので処置の前にお茶やコーヒを飲まないようにと教えていただきました。他にも風邪薬や咳止めにも細かい手の震えの原因になるものがありますので、処置の前には薬は飲まないようにしています。
 もちろん、処置当日に重たい荷物を持ったりするのも手の震えの原因になります。私が朝からゴミを出しに行かないのは、手伝いたい気持ちは非常にあるのですが、職業的な制約なので泣く泣くやらないだけなのです。(そう言うくせに顕微鏡処置が無い日もゴミを出しに行かないという指摘もあります。)
 

顕微鏡手術用器具(ちょっとケチくさい話)

 ピンセットや持針器などはあまり変わった形の器具を使うわけではないのですが、非常に繊細で精度の高い器具が必要になります。そのため、チタン製の器具を多く使いますし、一本ずつが熟練した職人さんの手作りです。その分、非常に高価となってしまい、マイクロサージェーリー用のピンセットは1本10万円近くします。さらに、このような精密なマイクロサージェーリー用のピンセットは誤って床に落としたらもう修理もできません。多くの場合は廃棄処分になります。アシスタントにはあまりケチくさい事は言いたくないのですが、買ったときには必ず、「これは1本10万円だからぜーったいに落とさないようにしてね。」と念をおします。手術の前にMayo tableの上に並んでいる器具をみながら、「フルセット100万円だぁ」なんて思うと手が震えそうになりますが、処置を始めてしまうとそっちに集中してあまり気にはしてません。

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