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抜歯後に激しい痛みが出たら - ドライソケット(Dry Socket)の原因

 ドライソケットを生じる最大のリスクファクター(危険因子)は抜歯後の過度のうがいです。過度のうがいはせっかく固まり始めた血液を洗い流してしまいます。これでは自分からドライソケットを作っているようなものです。ドライソケットを防ぐためには歯科医師から指示された時間、きちんと綿を噛んで圧迫止血をしてください。また、止血してからも多少はつばに血液が混じると思いますが、あまり頻繁にうがいをしてはいけません。

 また口で「何かを吸う事」は血餅を吸い出して抜歯後のドライソケットのリスクを高めます。具体的には喫煙、ストローで飲み物を飲む事、つばを吐く、鼻をすする事、咳をする事などはできるだけ避けてください。

 とくに喫煙は酸素供給を阻害して傷の治りを悪くしますし、(タバコを)吸うことによって傷をカバーする血の塊(血餅)が取れやすくなります。少なくとも抜歯後48時間は禁煙してください。

 抜歯後24時間は抜歯した場所に影響しないように食事は柔らかいものをそっと噛んでください。ただ、血糖値が下がると出血が逆に止まりにくい場合もありますので、麻酔が取れたら柔らかめの食事をきちんと摂ってください。絶食はしないでください。

 抜歯後5-10%ではなんらかの歯槽骨炎を起こしているという報告もあります。血の塊が取れやすいという点では上顎のほうが下顎に比べてドライソケットを起こしやすいと思われるかもしれませんが、論文によると下顎のほうが上顎よりドライソケットを起こす可能性が高いのです。これは下顎のほうが上顎より骨が硬いので、抜歯後の出血が少ないからかもしれません。また部位別に見ると親知らずの抜歯でドライソケットになる頻度が高いと言われています。これは抜歯自体が難しい場合が多く、感染を起こしやすいのかもしれません。

 性別では女性は男性に比べリスクが高いと言われています。生理周期によるホルモンの変動が影響しているとする説もあります。経口避妊薬を服用している女性も同様の理由でリスクが高いと言われています。また、糖尿病のような全身疾患も感染のリスクを増します。

 ただ、私自身の経験ではドライソケットが起るのは、難しい抜歯の後ではなく、一見単純に見える簡単な抜歯の後に多いように思います。それはなぜでしょうか。

 血餅の保持が難しい複雑な抜歯の後や大きな抜歯窩が残る場合、または心臓病や糖尿病などの全身疾患がある場合は抜歯前後に十分な対策を行います。具体的には抜歯窩の周辺の歯茎を引張って縫い合わせて傷を小さくしたり、血餅の保持をするためにセルロースのスポンジを抜歯窩にいれたり、予め抗生物質の投与を行なう場合もあります。

 ところがこのような処置をしなくても普通に指示を守っていれば大丈夫だと思われる単純な抜歯のケースに限って、抜歯後の注意を守っていただけず、ドライソケットを起こしてしまうように思います。簡単に抜歯が終わった時に限って、患者さんにも私にも油断があるのかもしれません。全ての抜歯で、最大限の予防処置を行なえばドライソケットは防げるとは思います。しかし、抜歯は通常は保険診療で行ないますので、すべての抜歯で上記のような処置を行なったり投薬を行なうと過剰診療として保険の支払い側の指導を受けてしまうかもしれません。

 また、縫合(傷を縫う事)は多少なりともいえ体に負担をかける事になりますし、セルローススポンジを入れるということはその吸収を待つ分だけ治りが遅くなる事になります。人工物の手助けが無くてもきちんと治る状態であればなるべくは体に余分な負担をかけたくありません。

 ですから、抜歯の後は必ず指示を守って傷口と血餅を保護してください。脅かす訳ではありませんがドライソケットになると本当にかなり強く痛んだり腫れたりします。

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