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妊娠中の歯科治療

pregnant3.jpg 受精後2?7週は赤ちゃんの体の様々な器官が作られる時期で薬の影響を受けやすい時期でもあります。特に、抗生物質の中には胎児に障害を与える可能性が高い種類の薬もありますので注意が必要です。
 妊娠中、薬を服用するときは、それが絶対に必要かどうかを十分に検討し、必要最小量を使用します。基本的には薬に頼らないほうが良いのですが、初期に治療していれば軽く済んだかもしれないのに、重症にしてしまっては意味がありません。重症になれば長期間にわたって大量の服用が必要になるかもしれません。

 どのような薬も治療の有用性のほうが服用のリスクより大きいと思われる場合にしか使用しません。

 もともと、歯科用のレントゲンは放射線量が少ないので胎児への影響はほとんど無いと言われています。さらに当院では被爆線量を従来の25-30%以下に軽減できる最新のデジタルレントゲン装置を用いています。また、散乱する放射線を防ぐため、鉛入りの防護エプロンをかけて撮影を行っていますので、影響はほとんど無視できるレベルです。

pregnant2.jpg 少し詳しく説明をすると、胎児に障害を起こす放射線量は、直接、腹部に照射した場合で1回に10 rad(ラド ; 体に吸収される放射線の単位)以上であるとされています。歯科では1回の撮影で、直接照射を受ける顔の皮膚でも0.4?0.5 rad、子宮まで到達する量は50万分の1 rad以下です。

 歯科で使用するレントゲンは胎児や母体に障害を引き起こす量よりもはるかに少く、撮影に問題はないとされています。妊娠に気がつかずに撮影をしてしまった場合も心配はありません。むしろ、あまり心配をすると「レントゲンを使用したことで何か問題があるのではないか」という不安が招く精神的な影響の方が大きいかもしれません。もちろん、妊娠中は撮影枚数を極力少なくし、緊急性の無い撮影は出産後に行うなどの配慮は必要です。

 ただし、医科で行う腹部や胸部の撮影の場合は比較的放射線量の多いものもありますので、妊娠のおそれのある方は医師または放射線技師に必ずその旨、お伝えください。

 歯科の麻酔薬は通常の使用法と使用量では胎児への影響はほとんど無いと言われてます。通常、持病として心臓疾患、高血圧症、甲状腺機能亢進症などをお持ちの方には別の麻酔薬を用いますが、この薬剤には弱い分娩促進作用があるため、妊娠中の方には使用しません。妊娠中毒症などで血圧が高くなっている場合はまた違う種類の麻酔薬を用いる事もありますので、必ず申し出てください。
 麻酔薬の使用を極度に恐れて痛みを我慢しようとされる方もありますが、無理なストレスがかかると却って良くないように思います。当院では表面麻酔を行い、さらに痛みの少ないコンピューター制御の注射器を用いていますので、ストレスを最小限に抑える事が可能です。

pregnant.jpg妊娠時、特に後期では急な低血圧を招くことを避けるため、少しだけユニットを倒した状態で治療をします。また下半身をやや左側に向けると良いようです。後期でお腹が大きく上向きに寝るのが難しかったり、苦しくなる場合は背中にバスタオルや毛布を敷いて少し横向きで治療を行う事もあります。

baby1.jpg 妊娠のどの時期であっても通常の歯科治療は可能です。しかし、胎児や妊婦への影響から考えて、比較的安定している妊娠中期(5?7ヵ月)が望ましいとされています。妊娠初期(受胎?4ヵ月)は胎児の重要な器官が作られるため、薬の影響を受けやすい時期です。この時期の治療は応急処置にとどめ、安定期(妊娠中期)に入ってからきちんとした治療を行います。妊娠後期(8ヵ月?出産)では急に仰向けになったりすると血圧の低下を招くことがあります。過度の緊張、痛み、恐怖感などから不快症状の増加や、早産を招く可能性もあります。この時期の治療も応急処置にとどめ、出産後にきちんと治療を行います。

 ただ、妊娠初期や後期であっても、安定している状態であれば通常の治療が可能な場合もあります。逆に中期であっても不安定な状態であれば、応急処置にとどめた方が安心です。不安がある場合は、産婦人科の先生に確認することが必要です。