家族で近所のシネコンで『魔笛』を見てきました。魔笛といえばモーツァルトの最後のオペラですが、モーツァルトの生誕250年を記念して2006年に英国の映画監督ケネス・ブラナーが映画化しました。日本では公開が遅れて生誕250周年に間に合わなかったのが残念です。
映画の冒頭の序曲は空を飛ぶ鳥の群れからパンダウンして花の咲き乱れる草原へ、そして延々と続く塹壕の中を走る兵士を追いかけてと圧倒されるほど長いワンショットで表現されます。CGを使っていると思うのですが早い場面展開と途切れのない映像が見事です。
元のオペラには「おおイシスとオシリスの神よ、なんという喜び!」という合唱がありますので、舞台はエジプトかと思いますが、映画は第一次大戦中のヨーロッパが舞台のようです。赤と青の軍服の両軍が塹壕の中で睨み合っています。軍服の色は黒澤明監督の映画に出て来た赤と黒の鎧のように、様式美の世界を感じさせます。タミーノは大蛇ではなく毒ガスに襲われ、従軍看護婦の3人の侍女に助けられます。砲塔の無い特長的な形Mk.I戦車が出てきますので、青の軍服はイギリス軍でしょうか?そうすると赤い軍服は毒ガスを使いますので、ドイツ軍かもしれません。
なにしろ、元のオペラの筋書き自体がかなり荒唐無稽で、しかも途中で善悪が入れ替わるという判りにくいストーリーですので、一度もこのオペラを見た事が無い方には判りにくいかもしれません。また、最後の火と水の試練もちょっとしょぼいです。せっかくCGを多用しているのですから、もっとスゴイ映像を作れたのではとも思います。もっともあまりやるとダイハード4.0になってしまいそうですが。
139分の上映時間はちょっと長いですが、オペラの全曲を網羅しています。原曲はドイツ語なんですが、映画では全曲が英語に翻訳されています。台詞の部分はともかく、せっかくなら歌はドイツ語だったら良かったのにとも思いました。それに英語の歌詞が原曲のドイツ語の歌詞と内容が微妙に違うアリアがあってちょっと気になります。ただ、英語で良かったのは非常に判りやすい英語だったので、三重唱や四重唱でそれぞれの歌手が違う歌詞を歌っている部分が良く判りました。モーツアルトのオペラには良くあるのですが、ドイツ語やイタリア語ではちょっと判りにくい、というよりぜんぜん判りません。さらに観た映画館は新しいシネコンだったので音響も良く、うちでオペラのDVD見てるよりずっと楽しめました。
主な出演者はすべてオペラ歌手ですが、アップで見ても表情豊かで皆さん演技が上手です。特に夜の女王役のリューホフ・ペドロヴァとザラストロのルネ・パーペ 、もっとも高い音域ともっとも低い音域を歌うこの二人の歌手が特に良かったように思います。DVDが出たらぜひ買いたいと思います.
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