アメリカで12歳の少年が虫歯で死亡

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 1週間程前、米国メリーランド州Prince George's 郡の12歳の少年Deamonte Driver君が歯周膿瘍の合併症で死亡しました。歯周膿瘍は定期的な歯科治療を受けていない人たちにはよく見られる疾患です。6週間の入院期間中の2回の手術にもかかわらず、顎の膿瘍から脳への病巣感染により死亡しました。

原文

Just over a week ago, a 12-year-old Prince George's County boy died as a result of complications from a tooth abscess -- a kind of infection that is particularly common among people who do not have access to routine dental care. Despite undergoing two operations and spending six weeks in a hospital, Deamonte Driver died after bacteria from the infection spread from his jaw to his brain.
Washingtonpost.comより

 アメリカには低所得者向けの医療保険:Medicaidがありますが、この子の母親の保険は失効していたそうです。また、アメリカの保険は個別に歯科医師が契約する形式になっているのですが、給付の内容が限られている上に、書類の記入が複雑なMedicaidと契約したがらない歯科医師が多いそうです。そのため、Medicaidに入っていても治療してくれる歯科医師を探すのが大変です。

 結局、6週間の入院期間に$250,000もの医療費を費やしましたが、残念ながら救命することはできませんでした。記事に"A routine, $80 tooth extraction might have saved him." (通常の$80の抜歯で彼は救われたかもしれない)とあります。重症化する前に早期発見、早期治療をすれば少ないコストで効果的に国民の健康が維持できる顕著な例かもしれません。

 日本だと抜歯は1200円から2400円(歯の種類によって違います)ですからアメリカの1/8から1/4ぐらいになります。実際の負担額はその3割ですし、低所得家庭や母子家庭には治療援助がありますので、自己負担はありません。Deamonte君が日本に住んでいれば命を失う事も無かったと思います。

 ただし、日本の医療の現状は徐々にアメリカへ近づきつつあるのは間違いありません。現状は日本の医療は医師や歯科医師の低い報酬と長時間労働で支えられOECD加盟国中で最高の評価を得ています。しかし、「聖域なき構造改革」と言いながら高い公共事業費を維持しつつ、福祉・医療予算はどんどん削られてしまっています。(詳細については三重県医師会のHP「日本の医療制度が崩壊する」に詳しく述べられています。)

 地域によっては小児科や産婦人科外来の閉鎖など、すでに医療崩壊が始まっています。このままの状態が続けば日本でも虫歯で死亡する少年が現れても不思議ではありません。虫歯で死なないためには、民間の高い保険料を払えるようにがんばって「勝ち組企業」に就職するか、予防を「命懸け」でがんばるしかないのかもしれません。

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このページは、院長が2007年3月18日 11:27に書いたブログ記事です。

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