医療材料費削減-内外格差の是正必要

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 山口労災病院の外科部長 加藤先生の文章が読売新聞2007年1月25日論点に掲載されました。日本の医療の問題点とその理由について考察を加えられております。転載OKとの事でしたので、私のブログに転載させていただきました。

医療材料費削減-内外格差の是正必要

山口労災病院外科部長   加藤 智栄

 医療費抑制の名目で昨年4月から3.16%の診療報酬引き下げが実施された。日本の医療費は約32兆円でパチンコ産業とほぼ同額であり、国民の命を守るのに決して高いとは思わない。財政再建を掲げるのであれば、医療費抑制の前に無駄の多い公共事業費をもっと削減し、医療費を抑制するのであれば、内外格差が甚だしい医療材料費の
削減を大胆に行うべきである。 

 日本の医療は、技術料が低く抑えられているが、材料費が諸外国と比べて異常に高い。虫垂炎手術を日本で行えば7日間入院で約38万円、ニューヨークではたった1日の入院でも244万円、北京では48万円(4日入院)である。 

 一方、心臓ペースメーカーの内外価格格差は3?4倍である。日本では116?148万円(2004年)、中国では外国製品なら80?100万円で国産品が40?60万円。狭心症の“風船療法”に用いるバルーンカテーテルは日本で17~19万(04年)、米国7?8万。眼内レンズは日本5.2万円、米国1.4万円。冠動脈ステントは日本33.8万円、英国6.4?10.5万円(01年厚生科学研究)。冠動脈ステント治療の総医療費は米国368万8200円、日本174万750円で米国が2倍以上高いが、材料費は日本よりも安い。日本の冠動脈ステント治療費のうち材料費は58%、手術費は14%である。人工関節置換でも材料費が40?50%を占め、手術費は15?17%である。

 一部に「外国製品だから高価になるのは当然」との声もあるが、それは正しくない。ある国産医療メーカーは、日本国内価格の約1/5の価格で自社製品を海外で販売している。たとえば人工肺は日本で1620ドル、アジア210?1000ドル、米国220?950ドル、欧州240?500ドルである。

 医療材料の種類は20~30万種類といわれるが、外国での希望販売価格の1.5倍未満の材料は価格引き下げの対象にすらなっていない。本当に医療費を抑制したいのであれば、材料費の国際比較を行った結果を公表し、適正なる価格設定を行うべきである。医療費のうち材料費が占める割合は約6%なので、仮に現状の半額にすると約1兆円の経費削減が可能と考えられる。

 医療現場では、クリニカルパス(入院から退院までの診療計画書)などを導入し、在院日数短縮、患者1人当り総入院費削減を図っている。たとえば、胆石症手術である腹腔鏡下胆嚢摘出術はクリニカルパスを導入した結果、在院日数が12.5日から5.8日に、入院費用は62万5千円から47万7千円に減少した。当科の在院日数は、02年度
23.4日、05年度16.9日になり、1日平均の入院患者数は02年度38.6人、04年度34.3人になった。在院日数減少の割に入院患者数が減少していないので勤務は年々過密になってきている。

 急性期医療を担っている勤務医は概ね疲れている。当直や緊急手術でたとえ一睡もできなくても翌日通常勤務をしなければ病院経営が成り立たない。リスクを背負って急性期医療を担っている勤務医が、リスクが少なくて収入面で優遇される開業医(2.5倍の格差)に流れていくのは当然である。医療費を増やすことができないならば、せめて優遇され続けている医療材料費の内外格差を是正し、その是正分を、崩壊の危機にある急性期医療につぎ込むのは国民のためであり、政治の責任である。

 春野ことり先生のブログでは、この原因について考察されています。「日本の複雑な流通システム」というのも確かにありそうです。歯科ではここ10年程の間に材料商の営業マンが注文を取りに来る旧来の流通形態から通信販売への移行が進みつつあり、多くの材料の価格が低くなっています。もっとも、それに増して保険点数が低く抑えられていますので、あまり恩恵にはなっていません。

 春野先生は一番の原因としてこう書かれていました。

東京女子医科大学の上塚教授が、とても大切なことをおっしゃっていました。

「日本では、医療機器の価格(償還価格)は国によって決められている。その価格が下がると病院も、業者も利益が減る。そして、国民も、医療費の大部分は医療保険から支払われるため、コスト意識が働かない。」 

したがって、値段を下げる圧力が働かない。

だから、値段が高いまま放置されている

その昔、バイアグラが異例の早さで承認されたのを思い出します。切羽詰ったお役人達がたくさんいたのでしょうね。

つまり、人間、自分の身に直接降りかからない問題には、熱心にならないということです。

私の周りを見ていても、医療費に関してコスト意識を持っている医師は、まだまだ少ないと感じます。


 
 私がこんな事を言うと問題があるかもしれませんが、昔は病院で高額な医療器具の導入を決定する際にはメーカーの営業の「接待合戦」の凄まじさを耳にしたりする事もありました。海外の学会にファーストクラスでご招待なんて事も聞いた事があります。そんなのも材料費に乗ってたり、、、してたかもしれません。

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このページは、院長が2007年3月20日 23:35に書いたブログ記事です。

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