インプラントの費用: 2008年12月アーカイブ

 まず、インプラント治療には保険が適応されません

 患者さんから「将来的に保険の適応になる事はないのでしょうか?」と質問される事があります。でも、おそらく保険適応にはならないと思います。何しろ、年間に医療と福祉の予算を2200億円ずつ削減しようという世の中ですから、新たに医療関連に新しい予算が付くとも思えません。

 という事はインプラント治療は自費診療となりますので、各医院や使用するインプラントの種類、難易度によって費用は様々で、一概に費用が幾らかとは言えません。でも、時々「おたくはインプラントは一本いくらですか?」と電話をかけて来る方があります。

 電話での費用のお問い合わせに対しては、最低限度の費用をお話して後でトラブルになるのも嫌ですので、「現在の状態を拝見して、ご希望を伺ってみないと費用については申し上げられません。もし費用だけが問題ならうちは決して他院より極端に安いとは思いません。」と正直にお話しています。

 最近、スーパーのチラシに「鰻の蒲焼き一尾298円!!」というのを見ました。安い中国産の養殖鰻を中国の工場で加工して冷凍したのかな?(あくまでも想像ですけど)と思いました。いわゆる目玉商品で採算度外視の価格だったのかもしれませんが、本当に美味しい鰻の蒲焼きを食べようと思えば、本職の鰻屋さんが注文を受けてから割いて焼いたジュウジュウ言うような脂の乗った天然鰻のほうが良いと思います。

 インプラントも信頼できるデータの揃った一流メーカーのインプラントもあれば、怪しいコピー品のインプラントもあります。術者の経験や診断能力の差もあるでしょう。インプラントの上の冠を作るのにも、材料だけではなく、実際に作る技工士さんの技術にも雲泥と言って良い程の個人差があります。

 最近ではインプラントの価格競争が話題になっています。インプラントは他の治療に比べても経験と技術と設備が必要な高度な医療だと思います。術中の安全性と術後の良好な予後を得るためには色々な条件が必要になります。

 一尾298円の中国産の鰻の蒲焼きでも味はともかく、とりあえずはお腹は一杯になりそうですが、「食品の安全」という点では疑問を持つ人も多くなっているようです。日本政策金融公庫のアンケート調査によると、中国からの輸入食品について、90.3%が「安全面に問題」と感じており、「購入しなくなった」が80.3%という結果が出ています。

 インプラントは少なくとも数十年にわたってお口の中で機能すべきものです。多くの方が多少高くても安全な食品を選ぶと回答されている一方、インプラントでは費用だけを問題にされる方も多いのは何故だろうかと常々疑問を感じています。これはもしかすると我々歯科医師の啓発活動が不足しているのかもしれません。

 また、安い材料を使った上で技工料の安い技工士さんに仕事を依頼し、最低限の条件をクリアしたとしても、インプラントの原価を考えると一本10?15万円のインプラント治療費では医療機関の経営はかなり不安定になると思います。インプラントは長期的なメンテナンスとフォローアップが必要ですから、本当に大丈夫なのかなぁと人ごとながら心配になります。

 画期的な材料や方法が発明され、それを安全に用いる事ができる事が論文や治験で広く認められればインプラントの費用が劇的に下がる事があるかもしれません。ただし、現在の学会等での発表を見るとどうも急には望み薄のようです。

 安全・確実な処置と、長期間のメンテナンスを行なうためには残念ながら少なからず費用が必要なのが現実です。

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